窓から秋が入ってきた。
残暑がようやく終わったと思えば初霜が降りる異常気象の今日この頃。
秋なんて期間限定で販売しているお菓子でしか感じることができなかったのに。
クーラーがいらないからと久しぶりに開け放した窓からは、少し乾いた涼しい風が入ってきた。
一緒に入ってくるのはドバトの鳴き声、子どもの笑い声、トラックから流れる割れた音声。締め切った部屋には聞こえなかった、雑音でしかないそれらを妙に懐かしく思う。
夏の風には太陽の光と青々とした草花の匂いが絡まっていたが、秋の風はそれらが弱まり、代わりに土埃と枯れ草の匂いが混じる。
冬に向かって生き物が少しずつ眠りにつく準備をしている匂いだ。
揺れるカーテンの隙間から見えた空は、夏よりも褪せて遠く高く。雲は見上げる度に形を変えている。
そのまま開け放していれば、今夜には鈴虫の鳴き声を聴くことができるだろう。
明日にはまた、まだまだ残る夏の暑さに窓を締め切ってしまうかもしれない。
けれど小さな季節の変わり目に立ち会えたことがとても嬉しかった。
9/4/2024, 3:57:38 AM