刈っても刈っても庭にボーボー生える夏草。
砂漠化した私の頭も、こんな風に生えればいいのに。
まぁ、孫が「じぃじのあたま、たたきやすくてすきー」と言いながらペチペチ触ってくれるから、いっか。
だがな孫よ。
指人形を頭に引っ付けるのだけはやめてくれ。
痕がついて、頭が吸盤みたいになってしまうからな……。
今日の朝はまだ涼しいほうだし、夏草を刈っておくか。
刈る前に、まずは顔を洗ってスッキリさせよう。
洗面所へ向かい、顔を洗って鏡を見ると、頭の上に三体の指人形が引っ付いていた。
……孫よ、いつの間に付けたんだ?
私が寝てる間にか?
それにしても吸引力よすぎだろ。私の頭。
「はは!じぃじのあたま、にぎやかー!」
鏡に、私の後ろで頭を指をさしながら笑っている孫が映る。
「じぃじの頭は砂場だぞー!」
「きゃー!」
孫の方へ振り向き、ガオーと狼のポーズをすると、孫は高い声を出して笑う。
孫は走って逃げていき、私は顔が濡れたまま追いかける。
孫と遊んでいると時間は過ぎていき、夏草を刈ることを忘れてしまった。
まっ、刈るのは今度でいいか。
孫と過ごす時間のほうが大切だから。
8/28/2025, 11:25:05 PM