つぶやくゆうき

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暗闇を仄かに照らす小さな光。
光源としては役に立たないことが多くなったが、それでも「星が光っている」というのは風情も相まって強い意味を持つと思う。

何万光年も先の光が僕らに降り注ぐ。光速という時間さえも超越する速さでも、途方もない時間をかけてやってくるのだ。

大昔の人はそのような化学は知らなかっただろうし、考えることも無かっただろう。でも、その星たちに物語を重ね、道を指し示す光にも季節の移り変わりを楽しむ光にもした。
物語が出来た時には、その星は無くなっていたのかもしれないのに。

「だからよぉ〜、おれぁ、生まれ変わるっつんなら……星になりてぇのよ〜」

もう何度も聞いた。今日だけでも空で言えるほど聞いてるのに、毎度毎度酔っ払うとこの調子だから正直飽き飽きしている。

「全く、これだから先輩は……(彼女ができないんですよ)」
その後に紡ごうとした言葉は、流石に直接伝えるのは酷だと感じたのでお酒と一緒に飲み込む。
のどごしは悪くないが異物感があるのは、まだ私自身がこの感情を飲み込めていないからだろう。

「上ばっかり見ないで、たまには周囲も見てくださいね。灯台もと暗しといいますから。」

要領を得ない文章になったが、伝わっただろうか?
いや伝わらないことは百も承知。これまで何度失敗したことか。

こんな時ぐらい助けてくれてもいいんじゃないかな?
先輩の好きなものにイチャモンをつけてしまうのは申し訳ないが、この調子じゃ全く機能しないのだから。

せっかくの射手座なのに。


『星座』

10/5/2023, 1:26:34 PM