歩き始めたばかりの小さな少女の手は、
たなごころに心臓が転がっているようで
柔らかく熱く溶けてしまいそうだ。
その可愛い子は見るものすべて、
その手と一緒に歩きたいものだと一生懸命握っている。
おちびさんの手を繋いで、
私のたましいは童心の心地良さに熱く溶かされた。
うろつき慣れている貧しい老婆の手は、
皮脂も血潮もたましいも枯れ切っているようで
硬く冷たく砕けてしまいそうだ。
その可哀想な人は見るもの全て、
その手を救って欲しくて助けてと叫んでいる。
おばあさんの手を繋いでも、
幽霊を触っているみたいで手を合わせて念仏を唱えたくなった。
私の手は子どもに還るだろうか。
それともおばけになるだろうか。
十本指の先が何も見えてこない。
だれか、私の手を握って。
(241209 手を繋いで)
12/9/2024, 1:59:00 PM