『最悪』
君にだけは知られなくなかったのに。
ずっと隠してた秘密がバレた。
悔しそうに顔を歪めた君は、
泣きそうな顔で笑顔を作った。
「君が1人になってしまう前で、よかった」
触れてきた君の手は温かくて、
変わらない温度で抱きしめられた。
「君がいなくなってしまったら、耐えられない」
やめて、やめてくれ。
君にこの秘密がバレたとしても、抱きしめてくれるってわかってた。
それでもずっと秘密にしてきたのは。
君にこの秘密がバレたとしたら、君の人生も滅茶苦茶になってしまうってわかってたから。
だから隠していたのに。
「一緒に連れてって」
君がならそう言うってわかってたけど、
どうしても選んでほしくなかった。
君は知らないままを最悪だと思うのだろうけど、
こっちはわがままを最期まで貫くつもりだったのに。
「最悪だな。計画変更しなくちゃならないじゃんか」
6/7/2024, 3:15:32 AM