弥梓

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『君の目をみつめると』

※BL 二次創作


 きみと、やたらと目が合うことに気がついた。
 目が合う、と言うことは、僕がきみのことをたくさん見ているということであると同時に、きみもまた僕のことを見ている、そういうことだ。
 僕は何故きみを見てしまうのか、考えてみたらありきたりな答えに行き着いてしまった。行き着いてしまうと、不思議と納得できて、僕は素直に自分の気持ちを認めた。
 きみは?
 きみは、どうして僕を見るんだろう。僕と同じ理由ならいいのに。でも、素直じゃないきみに聞いてもきっと、目を離すとお前は何かやらかすから見張ってるだけだ、とか言われそうだ。
 何とかして理由を聞き出したい、と思いながらきみのことを見ていると、ほらすぐにきみが僕を見た。
 赤みが強い綺麗なすみれ色が僕を見ている。可憐なすみれの花と、粗暴で凶暴なきみとではとても似ても似つかない。でも、すみれは見た目に似合わず繁殖力が強くてしぶとい花でもあるらしい。そんなところはきみに似ているかもしれない。
「何笑ってんだ?」
「きみとはよく目が合うな、と思ってね」
 策を弄しても、聡いきみはすぐに見抜いてしまうだろうから、正攻法で攻めることにした。
「お前がこっちを見てくるからだろ」
「それは否定しないよ」
「否定しないのかよ」
「ああ。でも、目が合うってことはきみも僕を見てるわけだろ? 理由を教えてくれないか?」
「……お尋ね者の自覚もなく、すぐに騒ぎを起こそうとするお前を見張ってるだけだ」
 予想通りの返答だ。さて、ここからどう切り崩していこうか、と考えるよりも先に、
「それと、お前を見てると飽きないからな」
 そう言いながら、きみが僕との距離を詰めた。きみの右手が僕の頬に添えられる。
「ついでに、好きだから、だ」
 すみれの瞳が閉じられて、唇が重ねられた。
「ついで、なんだ」
「ああ。ついで、だ」
 楽しそうに笑ったすみれの瞳が甘くとろける。
 僕はなんだかそれを見るのが急に恥ずかしくなって、きみの胸に顔を埋めた。
 

4/6/2026, 11:46:55 AM