彷徨う小話

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『相合傘』

貴方が傘を忘れた時、
いつでも私が傘をさした。

私は貴方の隣に。貴方は私の隣に。
幼い頃から、ずっと一緒だと思い込んでいた。
貴方が傘を忘れるのを、一人望むこともあった。

貴方は私を「友達」と。私は貴方を「  」と思っていた。

私は、貴方が他人に傘をさしているのを見た。
貴方の、友達なのだろう。

臆病な私は、一人傘の下で、それを見ているだけだった。

雨は、冷たかった。

6/20/2024, 6:11:48 AM