静かな空間は、自分にとって必要なものだ。
出来れば、無音が好ましい。
心の声は静寂に釣られてやってくる。
やってきてくれたそれらを拾い上げ、ひたすら紙に向かって書き出す。
これは最近知った心の声の拾い方なのだが、これがなかなかに興味深い。
頭の中の騒々しさを表すかのように──あっという間にノートが言葉で埋まっていく。
心とは意外と素直なのだろう、似たりよったりな言葉が紙の中に現れる。実に面白い現象だ。
複数回出てくる言葉を大切なモノとして捉えていると、懐かしい音楽が頭の中で響きはじめた。
「Land Of The Free」
ドイツのヘヴィメタルバンド、GAMMA RAYのアルバムだ。
中学生の時に何度も繰り返し聴いた思い出のアルバムでもある。
こう書くと、歌詞までバッチリ覚えているものと思われるかもしれないが、そこは残念な私の脳ミソ。
何度も聴いていたくせに、日本語訳は全く覚えていない。曲の感じだけは覚えているというヤツだ。
どんな内容の歌だったのか気になったので、CDを聴くことにした。
棚からCDを取り出してみると、痛みのある歌詞カード(英語表記)が目に飛び込んできた。
音痴な上に、苦手な英語にも挑戦していた当時の自分がつけた傷だろう。
大人になれば音痴もなおって、英語も多少読める人になるかと思っていたけれど、それは難しいことだったようだ。
苦笑しながらCDを再生すると、懐かしいギター音と歌声が響き始めた。
懐かしいリズム。
懐かしい音。
当時のことを思い出しながら、日本語訳のブックレットをパラパラ見ていると、思わず笑いが溢れた。
先程ノートであたりをつけた言葉に対する答えがそこにはあった。
言葉がリンクするこの現象を何というのだろうか。
その答えを私は知らない。
静寂を壊す懐かしいヘヴィメタルに、私は一人口角を上げるのだった。
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静寂につつまれた部屋
9/29/2024, 1:07:47 PM