「止まない雨はない」と、昔君は僕に言ったね。
あの時は反発して自分の殻に閉じこもったけれど、雨が止み虹が出るように時間が僕の問題を解決してくれた。
それが僕の思春期が通り過ぎた瞬間だった。
今思い出すと恥ずかしいくらいの黒歴史だけど、君の言葉を何度も心の中で反芻して、雨が止むのを待ったあの時は人生でとても大事な時間だった。
あの時の言葉を今度は君に伝えたい。
辛くて、苦しくて、自分を責めただろう。突然の愛する人とのお別れは自分を自分でなくしてしまう。
僕はその経験は体感できないけど、君のその悲しむ姿を見ると解るよ。
最愛の人と一緒に眠りにつきたいと言った君のあの取り乱した様子を目にしたら、何も言えなくなってしまう。
「止まない雨はない」
この言葉だけじゃ、暴力的だ。君の心の痛みを引き摺り出して綺麗に纏めたように捉えられてしまう。あの時の僕がそう捉えたように。
そうではなく、君にかける言葉はこれだ。
「君に生きていてほしい」
そう、君にただ生きていてほしいんだ。だってーー降り止まない雨はないんだから。
#降り止まない雨
5/26/2024, 5:46:20 AM