形の無いものは目に見えない。
目に見えないからあるかどうか分からない。
大切にしなきゃいけないのに、それは些細なことで崩壊し、流れ出し、消えてしまう。
優しさや、愛情が、怒りや嫉妬や僻みで押し潰されてしまう。
だから私は本を読む。
本を集めて、棚に並べて、目に見える形でいっぱいいっぱい本を積む。
形の無いものを育む為に。
形の無いものが確かにあるのだと忘れない為に。
私の中に育ったもの、私の感情、私の興味、私というもの。その断片が本だと思う。
物に溢れた私の部屋は、私の中の形の無いものを守る為の部屋でもあるのだ。
END
「形の無いもの」
9/24/2024, 1:39:11 PM