──────太陽が二度と昇らないような心地がした。
目の焦点が合わない。どこか一点を見つめたくても、そこから目を逸らす。
見たくない見たくない見たくない見たくない…
まるで夜だ。暗闇に突き落とされて、右も左もわからぬ孤独の夜だ。
最愛の梨里が死んだ。
もう、目を開けないのだ。
あの黒曜石のような慈悲深く、時に鋭い目はもう開かない。
あの瞳が嬉しそうに細まることも、そこから涙が溢れることも二度とない。
輪廻転生?ふざけるな。
神など信じちゃいない。だって、神がいたならばそもそも梨里は死んじゃいない。
きっと梨里の方が夜の最中なのだろう。
瞼を開くことが出来ずに、暗闇の中ぽつりといる。
明るい光が見えたと思えば、灰になって欠片もなくなる。
梨里は、最高の生涯をおくることができたのだろうか。
お願い梨里、目を覚まして…
雫が零れる。
零れて、梨里の頬に流れる。
梨里、泣いてるの?
ううん、泣いてるのは、僕。
『この星もいつかは消える。私と同じように。
始まりがあるものはきっと、終わりもあるものよ。
会者定離…会うものは必ず、別れる運命にあるの。
だから、この月だっていつかは消えるの。
どれだけ暗闇に突き落とされたってね…
明けない夜はないのよ。』
…嗚呼、梨里
「──────もうすぐ、夜が明けるよ。」
4/28/2025, 11:39:38 AM