書く習慣:本日のお題「風に身をまかせ」
子供の頃の私は、風に身をまかせている場合ではなかった。
めちゃくちゃ風が強い地方なのだ。
春は春一番が吹き荒れる。春一番以外にもだいたい毎日、それも午前と午後と夜に強風が吹き荒れる時間がある。スギ花粉も飛び放題だ。窓ガラスも車も黄色くなるほど花粉が飛散している。「花粉が飛散」という字面を見ただけで鼻がむずむずしてくる。花粉症のパブロフの犬である。
夏は昼に謎に力強いドライヤーみたいな南風が吹いてくる。空気は動くが全く涼しくない。一方で夜になると、カエルの大合唱が木霊する田園地帯を北風が吹き渡る。夜風に吹かれようと思って出歩くと若干肌寒かった。現在は地球温暖化で毎晩熱帯夜になり、多少の北風ごときでは寝苦しさは和らがない。ただし、どういうわけか水道水はめちゃくちゃ冷えるので、夏だからと横着して給湯器をオフにしたままシャワーを浴びると普通に凍える。
秋の風が一等好きだった。ブタクサやイグサなどの秋花粉はあるが、昼間に吹く風の温度が下がって秋になった実感を得ると、なぜだか無性に嬉しかった。かすかに金木犀の香りがすると尚よい。
冬の風is most giltyである。毎年「ただでさえ寒いんだから風吹かすなよ!」と、心の中で風に毒づいていた。「身を切るような寒さ」なる表現があるが、本当に、なぜこんなに風が吹いてるのに誰もケガしてないのか不思議なくらい、木枯らしやからっ風は厳しかった。
それでも、私の地元は雪が少ない地方だからまだマシだ。
大学時代、アルバイト先の先輩が「学生時代、北海道で吹雪の日に外出してしまい、自宅から数メートルの範囲で遭難しかけた」と聞いて震撼した。
日本の長所として「四季がある」と言う人がいるが、相当恵まれた環境でお育ちなのだなとクソガキの僻み根性が顔を出してしまい、素直に四季の美しさを味わえない自分がいる。四季というか二季二難……語呂が悪いからいっそ「四危」?
春夏秋冬は今や「花粉、酷暑、花粉再来、極寒&大雪」になってしまった。花粉症じゃない人に時々出会うと、羨ましくてたまらない。「その人の鼻を食べたら花粉症が克服できるんじゃないかな」と、神絵師の腕を食べたがるオタクの邪念が顔を出す。
ところで、富山県で「花粉を出さないスギ」というのが開発されたらしい。少子高齢化の日本にふさわしい試みだと思う。
5/14/2026, 12:42:30 PM