うちには大きな子猫がいる。
それも二匹。
いや、正確に言えば猫耳と尾をを生やした人間のそれ、なのだが。
人の言葉は話せず、あくまでも猫として一日を過ごしている。
服は着ているし食事も人と同じ物を食べる。風呂やトイレも問題なく使える。
しかし、一番厄介なのは彼らに発情期が来たときだ。
何度俺の貞操が狙われたか分からない。
その都度家を出て、しばらくは外泊するなどしてやり過ごしていた。
頃合を見計らって帰宅し、これまでと何一つ変わらない生活を続けていたというのに。
「にゃーお、」「にゃっ」
どうも今回は見込みが甘かったらしい。
帰宅した途端、獲物を捕える狩人の如く二人に捕まってしまった。
そろそろ年貢の納め時らしい。
否、いつかこの時が来るのは早かれ遅かれ分かっていたことだ。
……猫のソレ、は棘が生えていると聞く。
嗚呼、せめて痛みは最小限で済みますように。
神に儚く無駄な祈りを捧げ、俺はゆっくり目を閉じた。
11/15/2024, 9:06:00 PM