君さえ居ればいいと、そう決めた。
君が幸せでいられるのなら、他の全ては些末なこと。
君の何気ない明日のため、僕の全てを捧げると。
それが私の、一番の幸せだと。
そう決めた、筈なのに。
目まぐるしく動く視界の中、知らない筈の君の笑顔が浮かんで消えない。
ねぇ、その顔は誰に向けたものだったっけ。
本来なら、隣に、僕が。
そこには確かに、有限かつ微かな光があった筈で。
一粒の雫が、重力に逆らって離れてゆく。
本当に、本当にこれで良かった?
私は、僕は、幸せか?
あぁ、出来ることならもう一度、君と。
理想郷の完成まで、あと10cm。
【理想郷】
11/1/2023, 1:04:22 AM