梅雨
「暴言や傷つける言葉が降り注ぐ世界。
字形も落ちる速度も様々で。
それが身体に打ち付ける度、水面の波紋が広がるよ
うに、僕の全てに沁みていく。
その中の何かの言葉が特定の傷に当たることで、と
ても痛み、陰で泣いてしまったりする。」
ー引用元:××書籍、第4章『梅雨』
そう、それがものすごく酷い時には「ああ、梅雨が来たな」と感じるのです。
私は傘を上手く作れないので、いつも人より一層ずぶ濡れなのですよ。
でも、1人。
いつも忘れた頃に、誰かが濡れそぼった、私に黒い傘を傾けてくれるのです。
安い透明傘ではないので、私と外界を漏らすことなく遮ってくれます。
でも、ボロボロの私はいつもお礼を言えません。
…ああ、引用文には続きがありましたね。
「そんなときは紫陽花を眺めたくなる。僕とは違い、
どんなにずぶ濡れでも、雨さえも味方につけて
美しく咲き誇っているから。」
そうです、紫陽花を持ち歩きましょう。
次に傘に入れてくださったなら、渡しましょう。
紫陽花を嫌いな人なんていないでしょう?
…いえ、そんな言葉は口実ですね。
「またあなたに会いたい」。
ええ、そう。
わかってくれますか?
どんなにひどく雨が打ち付けても、あなたの傘に入れば何も怖くないですから。
6/1/2024, 12:16:59 PM