頭の中には唐突に問が出てくるものだと思う。
少なくともおれにとってその事象は身近なものだった。
道を歩いてるだけでもそれは出てくる。
おかげで退屈はしないが、染み付いたそれは「集中する」ということをさせてはくれない。
思考が滲む感じだ。
雨が降って屋根が濡れるくらい自然で、とめるのは難しい。
意味のない音になって響くもんだから耳をふさぎたくなる。
ふさいだって頭の中で響いてるから、おれが変なヒトになるだけだった。
紙に書きだしゃ少しはマシになったから、おれのポケットは何時もメモ帳で一杯だった。
部屋も、問だらけの紙っぺらで埋まってた。
全部、最後まで考えれたことはない。
感がてる途中で別の問が出てくるから、諦めるしか無かった。
質量保存の法則とやらを、おれの頭にも当てはめてほしかった。
そうこうしてるうちにメモ帳が一杯になった。
また買うのかぁ、と自分に呆れながら顔を上げる。
いつもの家。壁には今まで書きなぐった問と答え達。
一個一個見直して、今日浮かんだのと同じのがあったら
書いた紙をゴミ箱へ放り込んで、寝る支度をする。
今見てるの現実じゃなくて夢かもしれないという問だけ、
気づかないようにほっぽったまんま。
気付いちゃったら危ないから、
気づかないようにベッドの裏に捨てた。はずだった。
風かなんか押し出されてきたそれを、おれはちゃんと見てしまった。
なんだろうと思って、答えが知りたくて。
問が出てきたら、答えるまでがセットだ。
今までの唐突の積み重ねに動かされて、向き合った。
胡蝶の夢のようだった。
いつの間にか寝ていて、問の答えは出てなかった。
働かない頭で、自衛のためにその問を隠した。
学校に行っても帰り道でもそれは鳴り響いてうるさかった。
帰って、今度は地面を見ないように。
記憶だけでベットに飛び込み天井だけを見る。
父さんが首を吊った跡。
隠したそれと同じ事を考えてああなったのと覚えてる。
二の舞いにはなりたくないという答えが出たから、
今日からもその問を隠し続けた。
3/5/2025, 10:28:54 AM