エアコンの風量を調整する左手が視界に入って
あるはずのものが無いことに気付いた
どっくん、と胸に痛みが走った
どっ、どっ、どっ、
鼓動が速くなる
なんで???なんでないの???
どういうこと???
必死に落ち着かせようと
お茶を少しずつ流し込んだ
油断したらむせてしまいそうだったから
「明日休みなんだっけ?」
突然降ってきたその人の声は
いつもと変わらない調子だ
はい、休みです
「予定入れてる?」
いえ、特には…
「ちょっと遅くなっても大丈夫?」
あ、大丈夫です、、
「せっかくだし色々まわってみよーかなって」
「いい?」
もちろんです…!
浮ついた
マスクの下に隠れた頬は
見せられないほど紅くなっていた
紅の記憶
11/22/2025, 1:15:54 PM