夜の公園で私は一人ブランコを漕いでいた。
錆び付いたブランコがキーキーと音をたてる。
なんでこんな場所にいるんだろう。
あ、思い出した。
友だちにゴロゴロコミックを貸してもらうんだった。
まだかな…ずっと待っている気がする。
ぼーっとしていると、
知らない大人がこちらへ近づいてきた。
その姿にびくっと体がこわばった。
なんでこんなに怯えているんだろう。
その人は私にこう言った。
「もうここにいなくていいんだよ。
あるべきところへおかえり」
…ああ、そうだった。
わたしは大切なことを忘れていた。
それから誰もいない夜の公園で
ブランコがひとりでに動くことはなくなった。
お題「ブランコ」
2/1/2024, 12:15:21 PM