あなたの手の温度も、あなたの声もあなたとの会話もきっといつまでも忘れないと思ってた。
でも人間の記憶なんて曖昧なもので、いつの間にか忘れないと思っていたものもぼろぼろとこぼれ落ちていく。
大事に大事に仕舞っていたのに、仕舞い込みすぎてわすれてしまったのかもしれない。そしていつか大事に仕舞っていたことも忘れるのかもしれない。
大事なことも、そうじゃないことも、少しずつ少しずつ遠ざかって鮮やかな思い出も、色褪せて。
きらきらした残滓だけが残る。
きっと私の記憶の中にあるあなたの声と、本当の声は違うのだろう。ぬくもりももう覚えていない。
それでも、頭の中に響く私の名前を呼ぶあなたの声は、こんなにも愛おしい。
5/9/2023, 1:05:02 PM