ラララ
「ラララ…」
街角から聞こえてくる軽やかなメロディ。誰もがその音に惹かれて、つい足を止め、口ずさむ。最初はただの音楽だと思っていたが、次第にそのメロディに不思議な力があることに気づいた。
リオはその町に引っ越してきたばかりで、初めて聞いた「ラララ」をどうしても忘れることができなかった。毎日耳にしているうちに、彼の心もいつしかそのメロディに引き寄せられ、無意識のうちに口から「ラララ」と出てきた。
ある日、リオは街の広場で、そのメロディの源を探していた。すると、ふと目の前に現れたのは、年老いた音楽家だった。彼は小さな口笛を吹きながら、穏やかに笑った。
「君もラララに引き寄せられたか?」
リオは驚いて答えた。「このメロディ、何か特別な意味があるんですか?」
音楽家は静かに頷き、言った。「このメロディはね、誰もが心から歌いたくなるように作られているんだ。人々が無意識のうちに歌うことで、町は調和を保っている。でも、それに気づいた者はもう、この町から離れられない。」
リオはその言葉に戸惑いながらも、もう一度メロディを口ずさむ。
「ラララ…」
その瞬間、リオは気づいた。彼もまた、このメロディの一部になったのだと。
3/7/2025, 10:51:40 AM