私が毎日見る夫婦は奇妙なものだ。その夫の方は私と仲が良く、その妻の方は私はあまり好きではない。
妻。彼女の思考は考えるだけで不思議だ。
妻は私が冷蔵庫を開けると怒る。私は冷蔵庫を開けただけ。妻は私が冷蔵庫を閉めても怒る。私は冷蔵庫を閉めただけだ。私がこの地に命の根を宿した瞬間から妻と関わっているわけだが、私はどうも彼女の言っていることは理解ができない。私が彼女の身体の中に宿ったときもきっと怒ったのではないだろうか。何故怒るんだろう?__冷蔵庫が嫌いなのかな?__寒いのかな?__それとも__私が嫌いなのかな?__。
そんな妻の言っていることを彼女の前ではできるだけ上手く聞き流している。妻が居なくなれば、私は仲の良い夫の方と話をする。
その夫も不思議だ。なんで妻の、彼女の隣で、一生寄り添っていようと思えたのだろう?
日曜日、夫は起きる。起きると妻は怒る。夫は言う。きっと、ずっと、寝ていても彼奴は怒る__。
なんで妻は怒るのかな。夫に寝ていてもほしいのかな?__日曜日は起きるべきではないのかな?__それとも__夫が嫌いなのかな?__。
私はあまり妻が好きではない。夫も同じように考えている。
なんで怒られたんだろう?__なんで怒られたんだろう?__訳がわからないや__理不尽だ__理不尽だ__。
私の毎日みる夫婦という存在が不思議でたまらない。彼らはどうして寄り添っていられるのかが不思議だ__寄り添っているのが不思議なら__子供なんている方がもっと不思議だ__どうして彼らは__?毎日彼らをみて私は思っている。
いつか私も彼らのようになるのかな?__
そうなったとき、私は妻のことを悪く言えるのだろうか!きっと彼女のようなことをするだろう。きっと彼女のように理不尽に周りを荒らしてゆくのだ。なぜなら私は私が始まったときから彼女の中に宿っていたから。
夫婦と私は引き裂けない関係にある。それからの解放をただ望んでいる。夫も同じように考えている。
きっと私はまだ彼女の中に宿ったままなのだろう。ならば早く出してくれ!私は何よりも此処から出ることを望んでいる!どんなに壁を蹴ろうとも、どんなに床に頭を打ち付けようとも、妻の中に宿っていたときのようにはならないのだ。あのときはどうしてたっけぇ__。それでももし、この母胎から出ることが出来たとしても、きっとこの先にもいつもと同じようにと母胎があるのだと思っている。私が初めて母胎の外に出ても、その先に私を締め付けるさらなる世界があったように。妻が私たちを自分の母胎の中に収めてしまっているかのように締め付けるんだ!
夫婦は不思議だ。夫は妻の世界から出ることはできなく、その子供は夫と一緒に理不尽な世界の中に締め付けられることになるのだ。母胎から出ることは妻が許さないだろう。どうしてだろう?__私たちが好きなのかな?__それとも__私たちが嫌いなのかな?__虐めたいのかな?__。今日も、私のみる夫婦は奇妙で理不尽な母胎に収まっている。私も例外ではないのだ。
11/22/2024, 2:50:27 PM