【星のかけら】
天体に深い入れ込みをしたことはない。
夜空を見上げればいつでもある星たちは、私にとって特別ではない。
星は確かに綺麗だが現実味はない。
とてつもなく遠い世界にいる。
太陽のように温めてくれるでもなく、雨のように濡らすこともない。
ただ光っているだけなのだ。
地道に動き続ける彼らは、私がふと見上げただけでは違いに気づかない。
いや、大きく位置が変わっても私は気づかないかもしれない。
彼らは何のために光っているのだろう。
彼らは何のために動いているのだろう。
多くの人が星に魅了される。
手の届かない星たちに少しでも近づこうとしているのだ。
手を伸ばせば届くような気がすると。
いつかあなたと見た空は不思議なもので、星が手に届くほど近くに感じた。
落ちてきた。
星のかけらは白く小さく溶けていく。
そうか。
震える寒さから落ちてきたのは雪か。
私は笑う。
「星のかけらって雪なんだね。」
少し星が近くに感じた。
1/9/2025, 12:26:37 PM