先日、久し振りに外国人の友人とたこ焼きを食べました。
その時に、どこかで見た「鰹節が踊っている」というのを教えられた外国人が「可哀想じゃないか!」と泣きそうになっている動画を思い出して、真似をしてみようと思ったんです。
「ねぇ、知ってる?」
「何が?」
「たこ焼きの上に乗っているこれ、踊るんだよ。ほら、今もたこ焼きの上で苦しんでる」
友人はまだ鰹節と言ってもイマイチ理解出来ないようなので、こそあど言葉で表してみました。
友人はまんまと信じ込み、「WOW!本当だ。踊っているよ」と、ましまじと鰹節を見つめました。
「ほら、食べてみなよ。美味しいよ?」と言うと、「そんな残酷な事出来ないよ!」と拒否します。それが面白くて、ひとしきり笑った後、食べ切ってしまったので、お皿を返しに行こうと思いました。
友人はまだ食べていません。「冷めるよ?早く食べてね」とだけ声をかけて、その場を立ち去りました。
「……もう行ったね。ほら、早く行くんだ」
そう言うと、人間はたこ焼きの上に乗っていた"それ"を逃がした。
"それ"は必死に何かを言おうとしている。恐らく、有難う、という感謝の言葉なのだろう。人間は優しく微笑んだ。
"それ"は逃げて行く。命拾いしたのだ。この人間の好奇心や、物をまじまじと見つめる癖に救われた。
…人間は、帰って来た友人に一言こう告げた。
「新たな友達が出来たよ」
9/7/2024, 4:01:59 PM