ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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ココロオドル

「ココロオドル」と奇妙な四角いガラスのような機械に書いてある。どういう意味だと問うてみたいが誰もいない。そもそも此処は何処なのか。「誰かいますか」と声に出してみた。自分のものとは思われぬ情けない高い声だ。驚くことにいらえがあった。

「はーい、いますよ。わかんないことはおねえさんに聞いてね♡」

「此処は何処だ。私は何故此処にいるのだ」

「はーい、あなたは…そうね、たぶん20世紀前半に生きた日本人の魂でここに呼び出されたのよ! ここはみんなの遊び場よ! ココロオドルとはこの世界で他に呼び出された魂と遊ぶことよ!」

いやそれは全く心躍らない。何をやらされるのだ。わからないが私の自由意志は約束されないと思われた。私はそら恐ろしさに身震いした。私はそのとき事態を全く理解していないにも関わらず不安と恐怖だけは感じていた。

しかし私には想像できなかった。「ココロオドル」と名付けられたこの空間。かつて生きた魂を適当に捉えて、戦わせる空間。それが単に娯楽のために作られたなどという事実を大正に生まれた私が想像できるはずはなかった。

10/9/2024, 10:32:34 AM