佐久夜の手記

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身を焼くような
胸を焦がすような
心を締め付けるような
それでいて多幸感に包まれるような
そんな一見美しい衝動を、人は
本気の恋と呼ぶらしい

であれば私は
本気の恋はしたくない
私が私でなくなるその感情を
味わいたいとは思わない

その感情は美しいか?
奇跡か?大切か?ありふれているか?

私は嫌いだ 本気の恋というものが
かつて私を傷つけたその刃を
己が手に持つなどあり得ない

私に向けられたその感情に
不快以外、なんと名を付ければいい?
恋とはなんだ、その激情はなんだ
その目はなんだ、言葉はなんだ
お前にとって私とはなんだ
その衝動を向けるに足るものか

私は嫌いだ 本気の恋というものが
私を切ったその刃が ただただ恨めしいのだから

9/12/2021, 12:49:53 PM