スマホを片手にイヤホンを耳につける。
三者面談ぶりの学校へ向かう。
桜が咲き始めようとしている姿を見て、私はいつ咲き始めるんだろうと心で呟く。
親にも内緒で音楽を聴きながら、最後になるであろう学校を過ごした。
建て変わった校舎の、三回ほどしか見た事のない教室で嫌いな先生の話を音楽で塗りつぶした。
先生にプレゼントやらあげている光景に吐き気がした。
かつて仲良くしていた人達が涙を流しているところに嫌悪感を抱く。
終わった後、少し話をしていたらBluetoothの充電が切れ、人の声や歩く音、雑音が耳に一気に流れ込む。
その時、
「付き合ってください」
ある男子が頭を下げ、手を伸ばし、一言、私をハブってきた女子に告白をしていた。
その女子は男子の手を握り、その友達の方へと逃げていった。
男子はあまりの嬉しさか、涙を流していた。
憎いアイツが恋物語を始めるなんて。
恋物語──
5/18/2024, 2:02:07 PM