秘密の手紙
昔辛いことがある度に手紙を書いていた。
宛先不明。
誰にも届かないそれに、忘れたいと念を込めて。
そんな何十、何百にも及ぶ手紙を
部屋の掃除をしているときに見つけた。
いつもは開けない押し入れの奥底。
使い古されたような箱の中。
もう何年も前の手紙。
だから、開けてみようと思った。
大量の便箋。そのひとつを手に取り開封する。
その手紙には所々水滴の跡のようなものがあった。
泣いたのだろうか、この手紙を書いているときに。
最後まで読んでも
その時の自分の気持ちが私にはわからなかった。
もう過ぎたことだから。
今の私には辛かったという記憶しか残っていない。
何がどうとは説明できない。
そっか。
誰にも理解されないってわかっていたから
自分の中で消化しようとした。
でも消化しきれないから手紙にして
自分の思いを吐き出そうとしたんだ。
また、笑うために。
また、人と関わるために。
また、自分らしくいるために。
12/4/2025, 6:21:03 PM