NoName

Open App

星座

私は空を見上げるのが好きだ。

お天気の良い日、綺麗なグラデーションがかる空に浮かぶ雲。
夕暮れ時の、夜が迫ってきている暗がりに光るオレンジ。
真夜中の、月や星々が輝く夜空。

空が表情変えていくのを、ただぼーっと眺めているだけ。

中でも夜空が好き。
真っ暗な空に小さく輝く星たちがたくさん散らばった宝石の海みたいで美しい。
それに、暗闇のだからこそ、小さな光も見つけることができるから。

夜空に浮かぶ星に、学校で習った夏の大三角形やオリオン座などの星座を見つけたとき、なんだかワクワクした気持ちになったのを覚えている。

知識として知っているものを自分の目で見たことが、その事が本当に“ある”ものとして理解できることがそうさせたのかもしれない。
知識と体験の一致、とでもいうのかな。


肉眼では見つけることができる星は限られてるけれど、本当はもっと、もっとたくさんの星がある。

しかも、私が見ている星の光は、もう何光年も前のもので、長い時間をかけてやっと届いた光を見ているらしい。
時が経っても、光は誰かの元に届くのだと思うと、目がじんわりと熱くなる。


星や星座は、旅人たちの道標にも使われていたと、理科を教えてくれた先生が話していた。
『迷ったら星を見よ。どちらの方角へ進めばいいか、星が教えてくれる。』


今日も夜空を見上げて、いろんなことを考えていた。
浮かんでは消えてゆく取り留めのないことを、静かな空に思う。

最近知ったのだけど、星座には月星座と太陽星座なるものがあるらしい。
自分が生まれたときに月や太陽がどの位置にあったかという星座で、これを組み合わせて、自分の内面を知る手段として使われているのだそうだ。

これが意外としっくりくるものがあって。
目に見えない力は、きっとあるんだって私は思う。

星座も人が見出したものであって、ただの星の連なりかもしれない。
人が勝手に意味づけしたものかもしれないけれど、この世界には不思議なちからが働いている!
そう思えば、随分素敵だと思うから、私はそう思いたい。


ここにも小さな星がある。
周りの光に圧倒され、自らの光を信じられなくなった星。

でもそれは輝くことを知らないだけ。
自分の中に、もう光はある。

いつかきっと、
光る星になって誰かの元に届き
迷う旅人の道標になっていくんだ。

10/6/2022, 7:24:31 AM