あの日、
僕はあの子を知らなかった。
あの日、
いつも通りの燦々とした朝だった。
あの日、
いつも通りだと、
勘違いした朝だった。
あの日は、
朝から何かが違った。
気のせいだと笑っていられるほど、
小さな違いだった。
いつもは、
どれだけいい朝であろうと、
あんなことは思わなかった。
でもあの日は、、、思った。
"散歩しようかな"
そう囁いた僕は、
いつもと違う自分にあっさりとした顔を浮かべ、
少し微笑んだ。
向かったのは、
今咲き誇る桜の木が一本、
大きく立つ公園だった。
そして着くなり一瞬で僕の視界を奪ったあの子は、
後ろ姿さえ透き通る黒髪を揺らし、
現れた。
風の中には、
その子のものらしき声も、
囁きを隠していた。
僕はそのとき確信した。
"あぁ...僕は毎日ここに来るんだろうな" と。
9/22/2022, 12:44:58 PM