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『不条理』

ドゴンッ!
大きな音がして、私にちくちくと飽きもせず嫌味を言っていた理不尽な上司が、目の前から消え失せた。
というか、吹っ飛んでいった。
あらあらまぁまぁ、その身体は回転しながらオフィスの壁をぶっ壊して、空の彼方へと消えていく。脳裏に「バイバイキーン」というセリフが過ぎった。
そして残されたのは私と、どこから現れたのか背丈よりも大きいハンマーを携えた青年がひとり。
「理不尽クラッシャーです!本日はご利用ありがとうございました!」
「はぁ……」
呆気に取られた私は、間抜けな返事を返す。
「理不尽には不条理を!またのご利用、お待ちしていまーす!」
そうして、青年は煙のように消えてしまった。

何だったのだろう、今のは。
不条理に打ち砕かれた理不尽のことは最早どうでもよくなった私は、とりあえず家帰ってビール飲もう、と帰り支度を始めたのだった。

3/18/2023, 12:01:57 PM