I…I LOVE…
I LOVEの後に続くのは、先輩か幼馴染くん、か。それとも初恋の人を入れるのが正しい?
先輩と私は部活は同じでも異性というだけあって話したことはあまりなかった。でも、私は先輩の後ろを走って、先輩の背中を追いかけた。大会、競技場での練習時に撮った2ショットは私を県だけでなく地方のブロックで1位に導いてくれた。私が一方的に抱いている想いは先輩が思っている以上に繊細なんですよ?私を振る時だって直接じゃなかったこと…今でも本当は痛いんですよ。でも、それ以上に私への返事に時間をかけて考えてくれたこと、今までと同じように居てくれていることが何より嬉しいんです。私の好きは、大切はこれからも先輩だけです。
先輩のいなくなった部活はいつもつまらない。部活という名の青春を楽しめていない私だけ、なんだか時が止まっているみたいで。
雪の積もった帰り道を1人で歩く。いつからこんなんになったんだっけ?私の前に1台の車が止まった。私の名前を呼ぶ聞き覚えのある声。車に乗っていたのは幼馴染くんだった。お母さんにもありがとうございますと言って乗り込んだのはいいものの、何を話せばいいのか。
「…なんで乗せてくれたの?」
小さな声で零れた一人言
「女の子1人でいるのは心配だろ、しかも最近不審者の話も出たし、俺が心配したから」
幼馴染くんは、私のことを考えてくれていた。音楽を聴いていたお母さんには聞こえていない2人だけの会話。幼馴染くんは、遠回しに告白したあの日のあとも何も変わらなかった。いつも通り。めんどくさいことは嫌い、人とはあまり関わりを持たない。特に女子とは。でも、私だけには優しかった。すぐに手伝ってくれるし、目が合うと必ずニコッとしてくれる。
「乗せて頂いてありがとうございました」
「いえ、息子の事よろしくお願いしますね」
「お母さん、余計なこと…」
「はい、私の方こそですが、よろしくお願いします」
ピピッ
ドアが閉じようとしていた
「じゃあね」
小さな彼の声。恥ずかしがっているのがよくわかる
「またね」
手を振りながら幼馴染くんが乗った車を見送った。
結局、本当に愛するものを見つけられない私のI LOVEの続きは空白のままだった。
1/29/2023, 11:19:01 AM