波にさらわれた手紙
あいつに手紙を書いた。
もう、隣にはいないあいつへ。
ずっと好きだった。
ずっと、隣にいてくれると思ってた。
けど、それは間違いだった。
あいつにはあいつの生き方があって、僕には僕の生き方がある。
なんでそんな当たり前のことに気づかなかったんだろう。
あいつの居場所は、僕の隣だと信じてた。
けど、違ったみたいだ。
波打ち際にしゃがみ込み、便箋を瓶に押し込む。
潮の匂いが胸いっぱいに広がる。
手を離した瞬間、瓶は白い飛沫をまとって沖へと滑っていった。
たぶん、お前にはもう届かない。
それでも、もし波の向こうで見つけられたら――
会いに来て。
8/2/2025, 11:07:34 PM