小絲さなこ

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「いつもいっしょ」


幼い頃、手を繋いで寝ていた私たち。

いつもいっしょだから、ゆめのなかでもいっしょ。

起きた時に夢を覚えていなくても、気にしたことはなかった。
ただ、ふたりで手を繋いで横になるだけ、それだけでよかったのだ。


それは、良い夢を見るおまじないでもあったし、安心して眠ることができる習慣でもあったから。


やがて一緒に寝ることが無くなってからは、そのことを忘れてしまっていた。


そして、幼馴染から別の関係になった私たちは、手を繋いで横になっている。

「小さい頃もこうやって手を繋いで寝ていたこと、覚えてる?」

忘れていても構わなかったのに、彼から「覚えてる」と言われたことが、予想以上に嬉しくて、鼻の奥がツンとする。


あの頃、眠るのは遊ぶ時間が減るみたいでもったいなかった。
今は、ひとりで眠るのがなんだか怖いときがある。
このまま目が覚めなかったらどうしよう──と。

言葉にはしないけど、私が手を繋いで眠りたいときは、そんな不安を抱えているとき。

手を繋ぐ──ただそれだけなのに、心が澄んでいく気がする。
大丈夫だと思わせてくれるのだ。

いつもいっしょ。これからもずっと。

いつか遠い未来に、そういう時が来たら、手を繋ぎたい。どちらが先だとしても。




────手を繋いで

12/10/2024, 7:08:59 AM