喜村

Open App

『時刻は深夜0時をまわりました。ミッドナイトラジオのお時間です』
 どうやら俺は寝落ちしていたようだ。
寝落ち、というよりも、職場から自宅に帰る道中に、猛烈に眠くなり、コンビニの端の駐車場に車を停めて、現在にいたる。
 仕事は22時に終わったから--
「やべ、2時間くらい寝てた!?」
 車のラジオから聞こえた時間にハッとする。
いつもなら家でご飯やお風呂を済ませる時間なので、このラジオ番組は初見である。
 ラジオでは雑談や音楽を流す程度のものだったので、聞きながら俺は車を走らせた。
『そういえば、そろそろ七夕ですね、おり姫様と彦星様は、今年は無事に会えますかね』
 俺は車を運転しながら、夜空を見る。
そこには、満点の星空が広がっていた。
こういう時、田舎に住んでて得したなぁ、と、思う。
『まだ梅雨はあけてませんが、年に一度会える行事、会えてるといいですね』
 うんうん、と相づちをうちながら運転している俺。いつの間にか放送に相づちを打つおじさんになってしまったようだ。
 それに、この星空も、若い時はただ綺麗だなぁ、と思っただけだったが、なんだか感傷に浸るくらいに年を取ってしまっていた。
 大きな天の川と共に、俺は帰路に着いた。


【星空】
※【真夜中】や【ミッドナイト】のお題の時系列

7/5/2023, 11:45:10 AM