小さい頃から体が弱い私。とある日、謎の病気にかかって通い付けの病院に入院する事になった。これで何回目だろうか。
痛くて苦しい検査をいっぱいされた。しょぼんとしている私を撫でるママの手があったかくて、優しくて、泣きたくなる。
ようやくベットに横たわると、体から力が抜けていって、身動きを取るのが一苦労になる。
ベットの隣には大きな窓があった。丸っこくて、柔らかい印象の窓。私はこの窓が大好きだった。
可愛いし、外がよく見えるから。
そこから外を覗くと、公園のようか所があるのが見えた。男の子達が元気に遊んでいる。たまに私と目があっては、慌ててそらしたりしている。
いいな、と思った。私はこうしてぼーっと外を眺めることしかできないのに。
なんだか……こことそっちが違う世界みたい。この窓が境界線で、幸せな世界と不幸せな世界に分けられているんだ。
目頭に涙が浮かんで、慌てて目をこする。そしてまた、ぼーっと外を眺めていると、公園で遊んでいた同い年くらいの男の子とバチっと目があった。そのまま見つめ合う。男の子は不思議そうに首をかしげると、やがて、にかっと微笑んだ。私はなんだか恥ずかしくてたまらなくなって、ベットに潜り込んだ。
胸のあたりがドキドキとうるさくて、顔がかーっと熱くなって、寝れなかった。
小さい頃からやんちゃしてきた俺。今日も、行きつけの公園に遊びに行った。
爽やかな風が頬を撫でて、ボールをつくぽんぽんとした音が心地良い。
公園につくと、そうまとれんがこちらに大きく手を振っていた。心做しか二人共、なぜか顔が赤い気がする。
「こっちだ!ほら、来い!」「んだよ」「いいから早く!!」
二人に手を引かれた先には、大きな病院が立ちはだかっていた。そこの大きくて丸い窓の外に、長い黒髪をいじる女の子がいた。ぱっちりの大きな瞳、薄い唇。どこか儚げで、すごく綺麗だった。
ぼーっと見つめていると、パチっと目があった。女の子はどこか怯えた視線をこちらにやっている。
俺は少し考えた後、思いっきり微笑んだ。女の子が少し顔を赤くして、窓の外から消えた。
ベットに寝転んだんだろう。
あの女の子はこちらをどんな視点で見ているんだろう。きっと、俺とは違う世界に生まれて、綺麗で儚い世界を生きているんだろうな。
一瞬だったけど、きゅんと胸が切なくなった。ふっと体から力が抜けていき、自分の顔がとても熱くなっていることに気がついた。
いっしょだけど、違う世界に生きている
7/1/2024, 10:38:36 AM