久我城ぬいろ

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君の目を見つめると

彼の目は、青い目だった。
真夜中の静かな海のような、仄暗い碧を灯した目。
朗らかに笑う彼の人柄には、少し似合わないと思っていた。

彼が初めて涙を見せた時。
彼の闇がその目に灯った。
それからというもの、彼の笑みに。
少し、夜の孤独を感じていた。

彼の目はいつも、彼自身を映し出していた。
見つめていると、遠いようで、どこか近い。
その目を見つめると、自分と彼の境界線がわからなくなる。
いつか分かる日まで、見ていることはできるのか。

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自創作 赤い祝日 より

4/6/2024, 10:15:27 AM