「後悔」
「やらかした」
頭を抱えて項垂れる。
つい先月、私は親友を残して死んだ。
せめて死ぬのなら老衰が良かったなと思いながら死んだのを覚えている。若い頃、いや年取っても健康優良児だったハズだったんだが。人間は意外と根性論でどうにかならないらしい。
毎日毎日、甲斐甲斐しく見舞いに来てくれる彼の顔を見ると、コイツより絶対に長生きしてやると息巻いていた。
直接言ってみたこともある。そしたら彼は鼻で笑った。
「当たり前だよ」
歳かな。たったそんな言葉で涙腺がバカになった。
彼はそんな私を小馬鹿にするかと思えば、案外、優しいところはあるようで、微笑みながら泣き止むのを待っていた。
ちなみにこんな奴なのでちゃんと葬式にも参列してくれた。葬儀場の照明のせいか、死人が言うのもあれだが、今にも死ぬのではないかと思う顔をしていた。
そんな良い友人を残して死んだ私は後悔に満ちている。
死んでも死にきれない、という言葉がまさか自分にも当てはまる時が来ようとは。
そして、死んでも死にきれない、成仏しきれない私は現在親友の目の前に立っている。
化けて出る、とはよく言うが、実際にそんな融通は効かないようで、見えないらしい。
5/16/2026, 8:50:33 AM