ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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赤い糸

「小指につながる赤い糸なんて嘘だと思ってるな」
とそいつは言った。
飲み屋で隣にいただけの男だ。
もちろん名前も素性も知らない。

「そりゃ赤い糸なんて都市伝説だろ」
「さあね。とりあえずあんたの赤い糸は西の方角に伸びてるよ」
「え?」

正直驚いた。
付き合い出したばかりの彼女はこの街の西に住んでいる。

「いいよね、みんな普通に西や東や南や北、最悪でも地面の下に伸びてるんだ」
「いや地面の下ってなんだよ」
「ブラジルに運命の人がいたらそうなるでしょ」
「それはまあたしかに。ていうかその他にどこに伸びるんだよ」

そいつはかすかに苦笑した。

「俺の赤い糸は天に向かって伸びてるんだよ」

6/30/2024, 10:34:37 AM