今から染まる無彩色

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がしゃーん!
部屋に響く鋭い音。それは床に叩き落とされた食器が発した音だった。

「うるせえって言ってんだろ。」

鋭い眼光でこちらを見やる男の姿は数年前と比べて随分と変わったようだった。男の子と呼ぶには大きくなりすぎた背、何も容姿のことだけでは無い。
心もここ数年で悪い方向へと大きく変化してしたようで。

しかし、いわゆる反抗期とは訳が違うらしかった。最初は学校を休みがちになり、その後あまり外へ出たがらなくなり、遂に部屋からもほとんど出ることがなくなって今に至る。
理由は絶対に教えてはくれない。だからこそ彼の抱える闇は大きくなり続けここまで来てしまったのだろう。

ああ、いつか私は暗がりの中にいる貴方を照らすことが出来るのだろうか。正解のない問を私はずっととき続けている。

そんなことをかんがえながら落ちた食器を片付けるのだった。

No.1【暗がりの中で】

10/28/2024, 2:10:35 PM