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「最近暑いね」

「カラッと晴れてくれるなら、暑くてもしょーがないって気分になるけどね」

「今は梅雨だからなぁ。毎日すっきりしない天気でジメジメしてて嫌になるよ」

「あぁ、早く梅雨明けして、夏が来ないかなぁ」

そしたら、直ぐに夏休みじゃん。
一緒に遊びまくろーぜ、なんて。
俺と彼の、下校途中の何気ない会話。

梅雨真っ只中で、すっきりしない空模様が、俺と彼の何となく退屈な毎日を表してるみたいだった。

そんな中で、横断歩道を歩いていると。
額に冷たい雫が、空から落ちてきた気がして。

「あ、降ってきたかも」

なんて。
思わず、俺が空を見上げた時のことだ。

周りを歩く人々が小走りで、横断歩道を渡り切って行く。
俺はてっきり雨に濡れたくなくて、急いでいるだけかと思っていたんだけど。

「危ないっ!」

隣に並んでいた友人の彼が、自分の体ごと俺の体を突き飛ばす。

……えっ?

なんて。
俺が突然のことで、何が何だかわからなくて。
彼の隣で呆然と尻餅をついて、座り込んでしまえば。

次の瞬間、一台のトラックが猛スピードで俺のさっきいたところに突っ込んで走り去っていくから。

俺は一瞬で血の気が引いた。

だって、あのまま、さっきのところを歩いていたら、俺は……。

「良かった、お前と会うのが今日で最後になってたかもしれない」

と、ホッと息を溢す彼を見て。

……そんなの、悲しいに決まってる。

なんて考えると、俺の目に自然と涙が頬を伝うから。

「何泣いてんだよ、お前なぁ」

「……っ、だって、俺っ」

「もう大丈夫だよ、俺はお前の傍にいるよ」

「うん、ありがとう……俺を助けてくれて」

あの瞬間助けてもらえていなかったら、きっと。
俺はもう二度と、お前の隣を歩けなかっただろう。

今日がお前に会った最後の日になってたかもしれないんだ。


君と最後に会った日……になってたかもしれない日


                      End

6/26/2024, 12:01:22 PM