花とコトリ

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雪の静寂

世界から一切の音が消えた。
カーテンを開けると、そこには夜明け前の青い透明な時間が降り積もっている。
銀色の粒子をあふれさせたような、しんとした静寂だ。

私は湯気を立てるコーヒーを一口含み、その苦味で目を覚ます。
足元では、影のように黒いクロが、雪の気配を察して鼻先を震わせていた。

私たちはただ黙って、白く塗りつぶされた庭を眺める。
言葉にすれば壊れてしまいそうな、けれど新しく生まれ変わったような夜明け。

寄り添うクロのぬくもりと、コーヒーの熱。
このささやかな温度こそが、新しい今日を始めるための、私だけの合図だった。

12/17/2025, 2:23:07 PM