私はいわゆるド田舎出身だ。
しかも貧乏な家庭で育ったためか、物心ついたころにはケチだった。
苛められたし、凄く惨めで悔しい思いも沢山した。
勿論思春期には荒れたし、お金もないし頭も悪い。
当然高校には行けなかった。――否、行かなかった。
私には夢があった。
その為にはお金が必要なのだ。
若い女で、沢山お金が稼げる仕事。私は必然的に夜の仕事を始めた。
最初は隣町にある場末のスナック。
しばらく働いて、ある程度の貯金が貯まったらもう少し大きい街へ。
それを繰り返すこと3年。コンビニも車で1時間、電車も通ってなかったド田舎から
大都会、東京へ来た。
「さぁ、もうすぐ!!!」
だが東京は厳しかった。指名が全然つかない日々。
周りには可愛かったり美人でスタイルがいいのは当たり前で、それ以上のスキルを各々持っていた。
聞き上手、おだて上手に気配り上手、頭が切れる者や、博識で、難しい言葉でお客さんと深い話をしていたり…
田舎や地方では若さだけでチヤホヤとそこそこ売れてきた私は、東京では完全にお客さんの眼中に無かった。
東京にはこんなに沢山の人がいるのに、誰一人として私を見ない。
悔しい悔しい悔しい!!!!
『やっと東京まで来たのに!!』
道端に落ちていた空のエナジードリンクの缶を思い切り踏みつける。
私の夢まであと少しなんだ!お金持ちになって、タワマン住んで、今まで私のことを貧乏人と言ってきたアイツらを見返すために!!!
全てはお金!!お金こそ全てなのよ!!
そんな私がキャバクラを辞めて風俗嬢になるのは簡単だった。
“業界未経験”の“10代”は体入(体験入店)からかなり人気だ。
年齢のサバ読みなんて当たり前、スタイルの数字だってみんなサバ読み。嘘しか書いてない風俗のウェブサイトは見ていて落ち着いた。
誰も見てくれなかったキャバクラ時代と比べて、沢山の人に見られて、欲しがられて、心が満たされた。
本番アリのお店、もちろん避妊具なしの方が人気だしお金も入る。
その仕事を始めて1年で最終目標金額達成した。
――ついに、タワマンの高層階に住める!
「使用人、お茶を持ってきてよ!!ご飯はまだなの?フォアグラにキャビア、あと最高級のワインをお願いね!
あとシャネルの新作買いに行かなきゃ!!
ざまぁみろよ!!貧乏人のお前ら!ひれ伏しなさい!」
彼女は今真っ白で無機質な部屋にいる。
眼下にはだだっ広い駐車場が広がり、奥には山脈が見える。
「あの人、エイズの末期だって…」
「え?そうなの?」
「そうらしいよ、あの人、元風俗嬢らしいし…」
「ショックで頭おかしくなったのかな」
「さぁね、、末期の症状かもしれないね。でもこの病院に来た理由については知ってるよ」
「え?なに?」
「夜景が、見たくないんだって…」
【夜景】~完~
私は実は元風俗嬢でもあります。優良店だったので性病検査は最低月2回はあり、診断書を提出の上勤務してました。
全ての風俗嬢が性病を持っているわけではありませんし、私は風俗嬢は立派な職業だと思っています。
彼女らと話している時間が私にとって唯一素を出せる時でもありました。
……今何してるんだろうなあ?
皆様いつも♡︎ありがとうございます。これからもがんばってかいていきます。
9/18/2022, 12:05:43 PM