小さな村に、絵が上手な少女がいた。彼女の名前はリン。リンは毎日、村の風景や人々を描くのが大好きだった。だが、ある日、彼女は大きな問題に直面してしまう。絵に色が足りなくなったのだ。
「おじいちゃん、赤と青がなくなったんだけど、どうしたらいいの?」
リンは困惑しながら、絵筆を握る手を止めた。
「ココロの色って知ってるか?」
おじいちゃんが笑顔で問う。
「ココロの色?」
「そうだよ。リン、ココロにはたくさんの色があるんだ。喜びは黄色、悲しみは青、怒りは赤、そして愛はピンク。ココロの色を使えば、どんな絵も描けるさ。」
おじいちゃんの言葉に、リンは目を輝かせた。彼女は自分の心の中を探求するかのように、目を閉じた。そして、心の中で見つけた色をキャンバスに映し始めた。
最初は、黄色のひまわり畑。リンが笑顔で手を振る友達の姿を思い出しながら、筆を動かした。次に、青い海。泣いた日の夕暮れを思い出し、波の音をキャンバスに落とし込んだ。怒りを表現するときは、赤い炎を描き、自分のココロに燃えていた思いを思い出した。そして最後に、家族と過ごした時間を描くときには、ピンクの温もりが絵に広がった。
「どうかな、おじいちゃん?」
リンが仕上げた絵をおじいちゃんに見せた。
「素晴らしいじゃないか、リン。君のココロがこの絵に宿ってるよ。」
おじいちゃんは感動したように言った。
その日から、リンは絵の具がなくても、自分のココロから色を引き出して絵を描き続けた。彼女の絵はますます豊かになり、村の人々もその色彩豊かな作品に癒され、励まされた。
ココロにはどんな色も揃っている。それを使って世界を描くことができると、リンは学んだ。そして、彼女は毎日、自分のココロの色を探し続けた。そうすることで、彼女はただの絵描きではなく、心を癒すアーティストとなったのだった。
完
お題:ココロ
2/11/2025, 11:17:47 PM