ほむら

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これは、私が彼に片想いしていた頃の話。それは、人魚姫のような恋煩いをしていた。

彼は、いつも多くの人に囲まれていた。優しくて、かっこよくて…どんな人の前でもその態度を崩すことがなかった。そんな私にとって王子様に見えたあなたを、平凡な私はただ見つめるばかりだった。彼と目が合っても、すぐに私は逃げてしまった。まるで陸と海のように、大きな隔たりがあるように感じて、私の気持ちは届かぬ思いのまま、自分の中に閉まっておこうと思っていた。そのはずだった。

「俺と、付き合ってください。ずっと前から貴方の事が好きでした」

なんの間違いだろうか。ある日彼は私に告白をしたのだ。いきなり海の底から陸に引っ張り上げられたような、今までに感じたことのない気持ちに戸惑いながらも、私は両想いだったことに喜んでYESと答えたのだった。

それから時が経ち、共に暮らすようになってから私は彼に聞いてみた。

「ねぇ、いつからあなたは私の事が好きだったの?」
「実は幼い頃に貴方に助けられたことがありましてね…その時から片想いしていたのですが、昔の貴方は目が合うとすぐに逃げてしまって、告白するまで届かぬ思いを抱えていましたよ」

なるほど、ずっと前から両片想いだった訳か。

テーマ「届かぬ思い」

4/15/2024, 11:16:14 AM