青白い光に包まれながら、歩いてみる。
寒色しかないとは寂しい印象でしかなかったけれど、
人も賑わっている中では不思議と寒くはない。
一体どれほどのあかりが灯っているのだろうか。
歩みを進めていくうちに、そんなことを考えても仕方がないと、ただただ見上げていた。
少しずつ夜の冷気が、肌にじんわりと染み込んでくる。
大勢の人とすれ違うのに、知り合いがいないだけでこんなにも違うものなのだろうか。
たった一人で眺めているだけでは、ダメなのだろうか。
するとコートの袖が後ろに引っ張られる。
俯いているから顔は分からないけれど、走ってきたのか、肩が大きく上下に動く度に息遣いが聞こえてくる。
「よかったら、これ」
少しよれた紙の手提げには、カップが二つ。
奇跡的に中身は溢れていないらしい。
ひとつ取り出すと、震える手でゆっくりと飲み込んだ。
「……ぬるい」
その一言で、今にも泣きそうな顔で見上げて来たので、思わず笑いが込み上げた。
「冗談だって、あったかいよ。ありがとう」
誰かがいるだけで、こんなにも違うなんて。
見上げると、イルミネーションの光が
さっきとは違って、暖かく感じた。
12/15/2023, 2:39:51 AM