『愛を注いで』
夫は私を愛していなかった。なぜなら私たちは親同士が決めた所謂政略結婚で結婚したからだ。
でも私は彼のことが好きだった。今は見せかけの夫婦でも、私から彼に愛を注いでいればいつかは私のことを愛してくれると信じていた。まるで種を蒔いた土に水をかけていればいつかは花が咲くように。
その希望はあっさりと踏み躙られた。
夫には真に愛する人がいて、その人との間に子供ができたのだ。そのことを問い詰めると、夫は私のことをゴミを見るような目で見た。そして夫は私に言った。「一生お前のことを愛することはない」と。
親同士の関係にも影響を及ぼすので離婚はしなかったが、元々歪んでいた夫婦関係は完全に修復不可能になってしまった。
それでも私は今も愛されたいと願って彼に愛を注いでいる。さながら割れた花瓶に水をかけるように。
12/13/2024, 3:32:55 PM