新しい地図
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外に出てみると、いつのまにか雨が上がっていた。
薄汚れた東京の街を太陽が燦々と照らしていた。空を見上げると焼け付くように眩しかったが、それよりも視界を遮る前髪の方が鬱陶しくなり、手櫛でかきあげてじっと太陽を見つめた。
水溜まりを避けながら駅を向かう。いつもと同じ道だ。もう何年も変わらない。だがしかし、その事実が私の足取りを日に日に重くさせる。
同じ道を歩いているようで、私は迷っているのだと思う。いつからだろうか。間違った道を進み、いつのまにか引き返せないところまで来てしまった。
ポケットに両手を突っ込む。新しい地図を求めて中を弄る。そんなところにあるはずがないとはわかっているが、そうしたくなったのだ。
4/6/2025, 2:37:30 PM