『花咲いて』 創作
とある路を、私はただ一人歩いていた。
美しい桜の咲いた、そんな場所だった。
私の中には、「恋」と言う名の花は咲かない。花びらは散っていくだけだった。
今日はSNSで出会った、「彼」と此処で待ち合わせしている。
SNSで知り合った者とはリアルで対面するな、とよく言うが、私の親はそんなこと気にしなかった。
「彼」が誰かなんて私も分からない。
所詮私と同じ学生なのだから、アイドルの様な美貌は期待しない。
足音が聞こえてくる。この路は人が少ないから、きっと「彼」が来たのだろう。
私は目を丸くした。
来たのは、私が憧れている先輩だった。
「…なあ、芽亜里。」
声をかけられてビクッとした。
「俺、ネットで会った人を探そうとしてるんだけどさ…」
その時、私の中の花が咲いた気がした。
7/24/2024, 10:02:09 AM