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この歳になればイブの夜なんて
所詮正月への景気づけみたいなもんだ

サンタさんへの手紙がどうとか
恋人とどこに行くかとか
自分には縁遠い言葉が
耳障りにすらならなくなったのはいつからだろうか

些細なことで感情が動くのは若い証拠だったな
などと微笑をこぼしながら
閉店間際のスーパーに並んでいた
大人数向けの割引済オードブルを前にとびきりのワインを開ける


おっと?
ワインを注ぐ手が震えているようだ、
あまりの喜びに耐えられなくなったのだろうか


ワインをひと回しして一言
う〜ん、良い…!

しかし返答は無い、
当たり前だ
この部屋には俺1人しか居ないのだから

テレビからはイルミネーションを見に行っているカップルが寒い寒いと喚く声

俺は暖かい部屋でオードブルとワインに囲まれている

うん、俺の方が幸せだ、うん。


気づくと頬を生ぬるい何かが伝っている気がする

ああ、そうか
イブの夜にこんなにも自由で居られることに耐え難い喜びを感じているのだろう

うん、
これは

これは断じて悲しい涙などでは無い

孤独という名の自由へ乾杯して
少し塩っぽくなったワインを味わった

12/24/2022, 11:24:41 AM