喜村

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 暑い、燃えるように暑い。
 意識が朦朧として、体に力が入らない。
力が入らないどころか、手がびりびりと痺れている。
 立てなくなり頭から突っ伏したようで、顔面にコンクリートの感覚がある。
それもまた熱くて、まるでバーベキューで焼かれている肉のようだ。
 喉は乾いていない。
鼻での呼吸だけでは追い付かず、口を半開きで息をした。
 頭がガンガンと痛い。
ガンガンと共にぼんやりしていて、何も考えられなくなってきた。

「誰か! 救急車!」

 そんな誰の声かもわからない叫び声が聞こえた。
 あぁ、俺を助けてくれる人なんていたんだ、と、薄れつつある意識で思った。
 これがいわゆる、熱中症、なのだろう。
 熱中症なんかで死ねるのか?、とか思っていたけど、なるほど、これは逝っちまう気がする。
 でも、俺まだ10代だよ? 10代でも死ぬの?
こういうのって、高齢者だけじゃないんだな、と、とうとう目も開けていられずに閉じながらそう思った。

 救急車で運ばれて助かるか助からないかは、神様だけが知っている。 


@ma_su0v0
【神様だけが知っている】

7/5/2024, 8:08:42 AM